「いつのまにか、ここにいる」を観ての感想
映画観てきました。
後半の方は時計をチラチラ確認しながら、終わってしまうことがどこか惜しいような気持ちでした。
事前情報というほどでもないですが、あまり映画(というよりも監督に対する)肯定的な意見を確認できなかったのが不思議に思えるような作品だった気がします。
監督が乃木坂46の情報に疎いことは、最序盤にフェアに提示されることもあって、いい意味で薄れた期待感が、後半徐々に濃度を高める構成は好みでした。
気になったことを素直に尋ねる姿勢が特に好意的でしたね。
「あぁそれ聞いちゃうんだ」という質問が折に触れて監督の肉声交じりに提示される部分は、リスクを理解した上での覚悟すら感じられました。
さて、肝心の内容ですが、確かに聞いていた通り主要メンバー数人にスポットが当てられていて、流石に全員に光が当たる作りにはなっていませんでした。
ですが少し考えてみれば、それは至極当然のことだと思います。
むしろ限られた時間の中で、落とせない要素に触れて、突っ込んでほしい部分にはちゃんとメスを入れていたことは素晴らしかったのではないかと。
前回のドキュメンタリー映画の個人的な不満点としては、等身大のメンバーに迫ろうとした結果近づきすぎてボヤけてしまったり、距離感に戸惑って変に構えた部分があったこと、フィーチャーしてるメンバーを平等に扱おうとするあまり薄い部分もフロントに表れていたことでした。
その点でいくと今回は、監督自身の興味・関心が前面に出ていた印象です。
独特な切り口とでも言うか、与田と西野の関係性をここまで接写した媒体は(僕の不勉強なら申し訳ない)あまり印象に無かったので、すごく新鮮に感じました。
ここからは個人的に印象に残ったシーンを列挙していくので、まだ映画を観ていない人にはさっぱりわからないことだと思いますがお付き合いください。
・僕は撮影中に壁に寄りかかる飛鳥ちゃんが印象に残っています。
おそらく本人の中では支えられる側にも、反対に支える側に回ることにも戸惑いがあった(もしくは現在進行形で「ある」)のかもしれないな、というのが何気ないシーンではありますが、そんなところに表れていたと思います。
これは完全な深読みですが、監督がわざと挿し込んでいたようにすら思えました。
とにかく、映画の撮影期間を通して、彼女が考えていた漠然とした「期待感」に対する「期待」はどこかこそばゆかったです。
・西野七瀬と高山一実の関係性をマクロにさっと流して、高山一実個人をミクロに捉えていた部分。
2人のぎこちない友情を「高山一実の失恋」と表現していたのはとても自然に受け入れられて、今までなんとなく僕が言語化できなかったものが少し報われた気がします。
・映画中でかなり意図的に登場していた大園桃子も良かったです。
西野七瀬や齋藤飛鳥の比重が大きいのはある程度予想できましたが、僕個人としては大園推しの人にこそ、この映画は観て欲しい。
どこでも等身大の生身の自分でしか勝負できない自分に対する、客観的かつ不可逆的な視点で自分を俯瞰している彼女のアイドル観に、僕は思わず目頭が熱くなりました。
このブログが更新されている時点ではまだ公開初日ですから、あまり中身に触れるのは避けたいと思いますが、あと何回か観に行って、もう少し自分の中で感想を練りたいですね。
この映画はある程度作為的に落とし所が作られていて、当然そこは感動のボルテージが上がる箇所なのですが、僕は本当に何気ない一言や合間合間に挿話的に出てくるシーンに胸が熱くなりました(卒業に対する考え方の違いや諦観など)。
正直まだ書き足りないと言いますか、鑑賞中に考えていたことを上手に言葉に出来ていないのがもどかしいですが、とりあえず初回の感想としてはここまで。
この映画は人によってはフェアに感じられないかもしれませんが、すごくフラットな映画でした。